そんなに言葉はでてこない
つかえる言葉はでてこない
つかえぬ言葉をつかうなら
子どもの遊びとかわらない
自分だけしかよまないなら
子どもの遊びでよいけれど
だれかによんでほしいなら
つかえる言葉をつかおうよ
つかえる言葉をつかうには
つかえる言葉をひたむきに
語彙のなかからさがすのも
ひとつのやり方ではあるし
めからみみからあたまから
つかえる言葉がおちるのを
そっとまつのもよいだろう
まてども言葉がおちなくて
あせってしまいはからずも
つかえぬ言葉をつかうなら
できあがるのは作品でなく
まして商品ではけしてなく
子どものつくった雪だるま
銭にはちっともなりません
つかえる言葉はひいらひら
葉っぱのようにおちてくる
書き手はそれがおちるのを
こころの茶碗でうけとめる
無名の書き手であるぼくは
つかえる言葉がおちるのを
詩人のふりしてまっている
明日のほとりでまっている