うれしいと書けばかなしさは零れ、
かなしいと書けばよろこびは落ち、
しあわせと書けばなぜか可笑しい。
死にたいと書けば怖くなって消し、
生きたいと書けば胸が苦しくなる。
ぴたりと合うものはいつも書けず、
わたしは己の未熟さに呆れている。
だがわたしは書くことを止めない。
机に向かって無色の次元を見つめ、
ポエジーの鳥が姿をあらわすのを、
言葉のしもべとしてわたしは待つ。
この営みは歩くことと変わりなく、
歩くことは競争では決してないと、
ワタシ以外のわたしは信じている。