三月十日

これから春になってゆく

いつもの春になってゆく

春になったら恋をしよう

漫画のような恋をしよう

春になったら月へ行こう

気球にのって月へ行こう

冬はすぐ近くにあるのに

冬になるのはほぼ一年先

時は後ろに戻らないから

冬になるのはほぼ一年先

この詩は三月十日の穿孔

そして冬と春の間の休符

三月十日は季節のない日

冬ではなく春でもない日

あるいは季節が私たちを

私たちのように忘れる日